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南国市の南海学園の夜間施錠「容認」 乏しい県の人権意識


高知新聞
2015年03月19日08時23分


高知県知的障害者福祉協会・南さん 「施錠なし」常識
 



 「施錠は正当な理由がなかったとは言えない」。障害者支援施設の南海学園(高知県南国市)が夜間に入所者の部屋に日常的に鍵を掛けていた問題で、高知県は3月、改善勧告に合わせてそんな見解を示した。施錠を含む身体拘束は人権侵害として法律で原則禁止されており、支援現場から「人権意識が乏しい」「障害について誤った認識を広める」と高知県の姿勢を問題視する声が出ている。何が問題なのか。高知県内の識者に聞いた。 



 高知県内71の福祉事業所でつくる高知県知的障害者福祉協会(南海学園は非加盟)は2014年、障害がある人の権利擁護を考える倫理委員会を立ち上げた。自身も施設を運営する南守委員長(70)も一連の問題を注視していた。



■後退につながる



 ―高知県の見解をどう見ていますか。
 「高知県は人権や『障害』に対する考え方を県民に示し、より良い社会へ推進する立場です。今回示した見解は後退につながります」



 ―南海学園の運営は2006年に高知県立から民間へ移管。夜間施錠はその当初からで、入所者を攻撃しやすい人や攻撃されやすい人、転倒しやすい人らが対象でした。高知県は「やむを得ない事情があった」と判断した理由の一つとして、障害の「重さ」を挙げています。



 「他施設で断られがちな人を南海学園は高知県立時代に受け入れていた経緯もあります。現場では時にしんどい状況があるのも事実。しかし『施錠なし』は現場の常識です。県外ではもっと重い入所者が施錠なしで当たり前に暮らしています」



 「意思をうまく表せない人たちのストレスをいかになくすか。行動の裏にある欲求は何かを読み取り、対応するのが基本。コミュニケーションを積み重ねれば分かる。安易な施錠はその否定です。現に発作をよく起こす人も、環境を変えることで発作が少なくなる場合があります」



 ―南海学園の元職員は取材に対し「人がすぐ辞め、人材を育てる余裕もなく、配置される人員も少なかった」と背景を話していました。



 「職員個々人ではなく、組織の問題です。ただ、どの施設も人員の法的基準を満たしても現状はぎりぎり。労働に見合う賃金ではなく、募集しても職員が集まりづらい。経営上の利益からパートや非正規を増やす向きも一部事業者にあったが、今は人が集まらないから経験の浅いパートで補わざるを得ない状況もあります」