介護事故 裁判になる前に話し合いで解決しようという取り組みが動き出している


介護事故やトラブルを裁判になる前に 話し合いで解決しようという取り組みが動き出しているらしい。

闇雲に隠された介護事故や介護トラブルが、事例をもって表面化するならいいことだろう。
 

そして 何よりも 裁判を回避するためだけでなく、

介護に伴う危険や曖昧な管理を洗い出し、介護事故を未然に防ぐこと
(回避)が最重要であろう。




 読売新聞   2013年3月2日 

http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20130302-OYT8T00262.htm?from=tw


介護事故 話し合いで解決

「調整人」が仲介、裁判回避







 介護サービス中に起きた骨折事故などのトラブルを、裁判になる前に話し合いで解決しようという取り組みが動き出している。



 「ADR」(裁判外紛争解決手続き)と呼ばれ、第三者を介して問題解決を図る試みだ。



 活動しているのは一般社団法人「介護トラブル調整センター(愛称・てるかいご)」(東京)。昨年4月の発足以来、介護現場で起こりやすいトラブルを、参加者が演じながら学ぶ講座を随時開いている。介護現場でのコミュニケーションの難しさを理解してもらい、ゆくゆくは紛争解決を担う「調整人」を育てていくのが狙いだ。



 今年1月下旬の講座は、ショートステイ先で認知症の80代女性があばら骨を骨折していたという設定。「骨折に気付かないなんておかしい。ちゃんと説明して」と厳しく迫る娘。「定時の見回りは怠らずにいたのですが」と謝る施設の担当者――。参加したケアマネジャーや介護福祉士らは、「演技だとわかっていても、つい感情的になってしまった」という。



 代表理事外岡潤さんは福祉分野が専門の弁護士。「介護トラブルは話がこじれやすい」と話す。事業者側の説明を、利用者の家族は責任逃れの発言と受け取ることもある。逆に家族から「ずさんな対応を隠そうとしている」と言われた事業者側が態度を硬化させることも。



 介護サービスを巡っては、利用者ごとに身体状況が異なるため、どこまで安全を配慮する義務があったのか不明確になりがちだ。事故の経緯や原因についての冷静な事実確認が大事だが「当事者だけの話し合いには感情の問題もあり限界がある」。



 しかし、訴訟になると経費も時間もかかるため、勝訴したとしても徒労感だけ残ったというケースも少なくない。逆に、「裁判まではしたくない」と泣き寝入りしてしまう利用者もいる。そこで、外岡さんは「公平な第三者が間に入って問題解決を図る介護版ADRを作ろうと思い立った」という。



 活動の流れは、〈1〉利用者や介護事業者からの依頼を受け、話し合いを提案〈2〉日時と場所を設定〈3〉「調整人」と呼ばれる第三者の司会のもとで解決策を探る――というもの。



 淑徳大学総合福祉学部准教授の結城康博さんは「当事者同士が率直に話し合える仕組みが確保されれば、介護スタッフらがトラブルを避けることばかり気にし、萎縮してしまうことも減るのでは」と期待する。



 同センターで取り扱った案件は現在までに2件。今後調整人を増やし、より多くの紛争解決に関わっていきたいという。問い合わせは事務局(03・3822・1773、月~金曜)へ。(赤池泰斗)



 「ADR」様々な分野へ



 ADRは消費者問題、離婚、労働紛争など様々な分野に広がっている。法務省がADR事業者の認証制度を開始した2007年度は10団体だったが、11年度には110団体に増加。紛争解決手続きの新規受理件数も68件から1352件に伸びた。団体に所属し、解決を目指す調整人は、弁護士や司法書士、大学教授、技術者など専門知識を持つ人が務めているケースが多い。



 利用が増えている背景には、民事訴訟よりも申し込み手続きが簡単で、手数料が安い点が挙げられる。例えば、家電製品の事故に関する紛争を扱う家電製品協会の場合、必要な費用は申し立て時の1万円(交通費などは除く)。



 外岡さんの「介護トラブル調整センター」は、まだ法務省の認証を受けておらず、現在は無料で引き受けている。