福祉ビジネスの陰 福祉事業会社「恵(めぐみ)」


このような介護事業者にとっては、利用者を単なる「金づる」としかみていない最低な組織である、許せない。

このような事業所では、働く職員も幾らでも代わりのきく「捨て駒」にしか思っていない。

経営者が儲かれば、それだけでいい。不正だろうが手段は選ばない。
そんな介護事業者は要らない。






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福祉ビジネスの陰 「恵」のグループホームで (1) 「営業」で勧誘 とにかく重度優先
中日新聞記事情報    2023.12.06 社会面 25頁 朝刊 (全1,870字) 

 -満床、稼働率100%にこだわってください! そのためには営業しかありません-

 今年4月、「ふわふわ」の名称で全国に障害者向けグループホームを展開する福祉事業会社「恵(めぐみ)」が、東京・港区で開いた社員研修会。北関東のホームの管理者として採用された男性は、業務内容が列記された配布資料の冒頭の文言に戸惑った。

 出席者の多くは管理者職。施設長として職員に福祉関係の法令を徹底させる責任を負う。だが、研修の大半の時間は「営業」に関する内容にさかれた。「営業」とは、障害者施設や精神科病院などを回り、入居希望者を勧誘することだと、同社幹部は説いた。ホームを「店舗」と呼び、県外に営業に行くようにも求めたという。

 「グループホームは障害のある人が住み慣れた地域で、安心して暮らすためにあるはず。この会社の言っていることは、おかしい」

 男性は専門学校で学び、介護福祉士の資格を持っている。社会福祉法人などで10年以上、支援が必要な高齢者や障害者と向き合ってきた。社員研修会で抱いた違和感は、実際にホームで働き始めると現実となって現れた。

 10人ほどの入居者の大半は、入浴などの介助が必要な重度障害者だった。24時間対応が欠かせないが、10人弱の職員のうち、福祉の仕事の経験者は男性と同僚1人だけ。名簿に名前はあるが、顔を見ない職員もいた。男性は家庭の事情で夜勤はできないと伝えていたが、人手が足りず3日連続で入らざるを得なかった。「利用者を思うと心苦しかった」が、限界を感じて2週間足らずで退職した。

 グループホームは主に知的、精神障害者らが、一軒家やアパート風の集合住宅で、職員の支援を受けながら共同生活を送る。

 入居を希望する本人や家族は、福祉の現場で経験を積んだ地域の相談支援専門員と障害の特性や望む支援内容を話し合い、ふさわしい生活の場を探す。重度の障害があれば受け入れ条件がなかなか折り合わず、地域によっては数週間~数カ月かけても見つからないことがある。

 だが、恵の複数の元職員は「とにかく重度障害者を誰でも受け入れていた」と明かす。そして「それは利益のためだった」と証言する。

 国や自治体から事業者に支給される福祉サービスの報酬(給付費)は、利用者の障害の程度が重いほど増える仕組みになっている。最重度の6から1までの区分があり、昨年まで恵のホームに勤務した女性は、役員から「施設平均4・7が絶対防衛ライン」と伝えられたという。多くの報酬を得るために、重度障害者の受け入れを優先させる方針と受け止めた。

 自閉症で強い行動障害がある人、重い身体障害もある人-。女性が勤めたホームには、障害種別や程度が大きく異なる人たちが暮らしていた。本来、利用者の特性に応じたきめ細かな支援が必要なはずだが、恒常的に人手も経験も足りていなかった。「暴れてしまう人がいても、手が回らず放置の状態だった」と振り返る。

 現場の体制整備が追いつかないまま事業拡大を急ぎ、サービスの質を放置し続けた実態が浮かび上がる。「自分たちも結果的に虐待に加担してしまった」。元職員たちは自責の念に駆られている。

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 障害福祉の現場で何が起き、障害のある人たちが望む暮らしを実現するにはどうすればいいのか。恵の元職員や利用者の家族、福祉関係者らの証言から探る。(この連載は、細川暁子、安藤孝憲が担当します)

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 豊田のホーム 今月末休止

 「恵」が届け出、転居先は確保

 福祉事業会社「恵」(東京)が、愛知県豊田市で運営する障害者向けグループホームを12月末で休止することが分かった。市に休止届を提出し、受理された。市によると、入居者全員の転居先は確保されているという。

 休止するのは2021年12月に開設された同市浄水町の「ふわふわ浄水」。アパートのような2階建ての建物が2棟あり、定員は14人。関係者によると、三河地方の他のホームなどに移るとみられる。

 通常、休止届は休止の1カ月前までに地元自治体に提出する。市には11月30日に出された。休止期間は示されていない。

 5日、ふわふわ浄水のインターホンに応答はなく、恵の西日本支社(名古屋市緑区)は取材に「コメントは差し控える」と答えた。市の担当者は休止理由の説明は「控える」と述べた。

 土地と建物を貸している男性の家族(62)は「12月分の賃料は払われているので大変驚いている。運営会社から何も連絡がなく、今後どうなるのか」と不安げに話した。

 恵は各地で新規開所を見合わせている。愛知県は11月、関係する市などと連絡協議会を設置し、対応策を検討する方針を表明した。

中日新聞社



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